Cubaseで生まれた、波音と珈琲の午後「渚のカフェテラス」制作秘話

〜 Cubaseで生まれた、波音と珈琲の午後 〜「渚のカフェテラス」制作秘話
オリジナル曲制作

— a quiet afternoon with the sound of waves and coffee —

Cubaseで生まれた、波音と珈琲の午後
「渚のカフェテラス」制作秘話

2026年 / 6月

#BOSSANOVA#Cubase#DTM#オリジナル曲#BandinaBox
海辺のオープンカフェで過ごす、穏やかな午後。潮風の匂い、グラスに映る光、遠くで混じり合う波音と笑い声——そんな情景を思い浮かべながら作ったオリジナル曲、それが今回紹介する「渚のカフェテラス」です。Band in a Boxでボサノバのバッキングトラックを組み、ギターを片手にメロディーを紡いでいきました。今回は、その制作の裏側にあった試行錯誤や、楽曲づくりで意識したことを少し詳しくお話ししてみようと思います。

「渚のカフェテラス」について

波音をバックに優雅なひと時を過ごす——そんなイメージで作ったボサノバのオリジナル曲です。”Band in a Box”を使ってボサノバの基本的なコード進行をベースにバッキングトラックを制作し、ギターを片手にメロディーを作っていきました。

Track Data
曲名
渚のカフェテラス
ジャンル
BOSSA NOVA
テンポ
♩ = 115
使用DAW
Cubase Pro 12
バッキング
Band in a Box(リアル音源/MIDI音源)
メロディー楽器
フルート、ガットギター(共にMIDI音源)
環境音
波の音(イントロ〜エンディングまで全体に使用)

波音の演出 〜渚の空気感をつくる〜

「渚のカフェテラス」というタイトル通り、この曲では海岸の空気感を出すために、波の音を曲全体に忍ばせています。ただ流しっぱなしにするのではなく、曲の展開に合わせて音量を細かくコントロールしているのがポイントです。

Wave Sound Dynamics
  • イントロ:波の音を大きめに。聴き手をまず渚の情景へ引き込む
  • 曲が始まったら:波音を控えめに下げ、バッキングやメロディーの邪魔をしないバックグラウンドへ
  • エンディング:再び波の音がふわりと前に出てきて、余韻とともに渚へ帰っていく

この「大きく→控えめに→また大きく」という音量の波(フェード)は、実際の渚で波が満ち引きする感覚にも近いかもしれません。曲が始まる前と終わったあとにも波音の気配を残しておくことで、「ふと立ち寄った渚のカフェで、いつの間にか音楽が始まっていて、また波の音だけが残っていく」——そんな時間の繋がりを表現したいと思いました。

Cubaseのオートメーション画面・波音トラックの音量カーブ

波の音はワンループの環境音素材を使い、Cubaseのオートメーションでボリュームのカーブを描いています。曲全体を通して「聞こえているけれど主張しすぎない」絶妙な塩梅を探るのに、地味に時間がかかった部分でもあります。


コード進行とメロディーづくり

テンポは ♩=115 くらいで、ボサノバらしいゆったりとした揺れを意識しました。コード進行は、メジャーからマイナーへふっと移る瞬間に漂う、少し切ないニュアンスが好きで、サブドミナントマイナーを使ったこの進行から始めています。

Chord Progression – Opening
Cmaj9 → Fm9
サブドミナントマイナーを活用した、哀愁漂う響き

そこから、ジャズ・ボサノバではおなじみの進行に展開していきます。

Chord Progression – Verse
Fmaj9 → Fm9 → Em7 → A7 → Dm9
王道のジャズ・ボサノバ進行

複雑そうに見えるコードの連続ですが、実際に弾いてみると「あ、これ気持ちいい」と感じる、ボサノバならではの不思議な和音の響きがあります。聴くほどに味わいが深まるのが、このジャンルの面白いところだと思います。

メロディー譜

実際にフルートが歌っているメロディーを楽譜に起こしてみました。1コーラス目はフルートとナイロンギターのテーマ、2コーラス目はフルートとナイロンギターのアドリブを加えた構成になっています。

渚のカフェテラス メロディー譜 1コーラス目
1コーラス目(フルート)
渚のカフェテラス メロディー譜 2コーラス目
2コーラス目(フルート&ナイロンギター アドリブ)

フルートのニュアンスづくり

メロディーはフルートで歌わせることを意識し、3小節目・7小節目・11小節目など長く伸ばす音符には、打ち込みでも「人が吹いている息づかいや間」を出したくてベロシティーの調整をおこなったり時間がかかりました。

フルートの打ち込み

都会的なニュアンスと「間」の使い方

17小節目あたりからは、跳躍進行に加えて半音階的な順次進行を少し混ぜることで、より洗練された都会的な雰囲気をプラスしています。リズムは基本的にシンコペーション(アンティシペーション)を効かせつつ、25〜28小節目のリフレイン部分ではあえて拍の頭に音を置く「抜き」を作り、楽曲にメリハリを生み出しました。

そして20小節目では、思い切って全休符を置いています。ここはピアノやギターのフィルインに任せる絶好の「間」として活用しました。ボサノバは、音を詰め込むよりも「抜く」ことでグルーヴが生まれる——そんな感覚を、作りながら少しずつ掴んでいった気がします。

1コーラス目から2コーラス目へのつなぎ(32小節目)も、地味にこだわったポイントです。Fm9の9th(G音)から次のコーラスへ自然に滑り込むよう、G(2拍)→A(2拍)というシンプルな2音だけでつないでいます。4拍目裏からタイで繋ぐようなシンコペーションを意識すると、よりボサノバらしいドライブ感が生まれます。

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制作裏話 〜リアル音源とMIDI音源の使い分け〜

バッキングトラックを”Band in a Box”で作る、普段のやり方はMIDIで制作してからCubaseに読み込ませて音源をあてる、というものでした。しかし今回は、MIDIのバッキングトラックではなく”Band in a Box”のリアル音源を使用しています。

bossaリアル音源

リアル音源は、MIDI音源とは違いWave音で収録されているため、音もノリもとても良い感じに仕上がります。今回はドラム・ピアノ・ベースのトリオにリアル音源を使用しました。一方、ガットギターについてはMIDI音源を利用することにしています。パーカッションと途中のシンセもMIDI音源です。

ガットギター打ち込みの苦労

メロディーはフルートとガットギターのMIDI音源を使用しています。ガットギターの音源には、フリーの「DSK Dynamic Guitars」を使い、MIDIで細かくベロシティ調整しながら打ち込みました。なかなかニュアンスを出せず、かなり苦労した部分です。いつか本物のナイロンギターを使いこなせるようになりたいものです。

ナイロンギター打ち込み
Cubaseのキーエディタでベロシティを編集している様子
✓ リアル音源のメリット
  • Wave収録ならではの自然な音とノリ
  • ドラム・ピアノ・ベースの一体感が出やすい
  • 打ち込みの手間が少ない
△ MIDI音源で苦労した点
  • ガットギターのニュアンスが出にくい
  • ベロシティ調整に時間がかかる
  • フレーズごとの強弱に試行錯誤が必要

DTM初心者の方には、まずCubase AIやElements版から試してみるのがおすすめです。機能を絞った分、操作にも迷いにくく、ボサノバのようなシンプルな編成の曲づくりにも十分対応できます。


ボサノバという音楽について

ボサノバは1950年代末にブラジルで生まれた音楽ジャンルです。サンバのリズムとクールジャズのハーモニーが融合した、独特のおしゃれな響きが特徴です。アントニオ・カルロス・ジョビンやジョアン・ジルベルトが生み出したこのスタイルは、今も世界中で愛されています。

複雑に聞こえるコード進行も多いのですが、実は「気持ちよく聴こえる不思議な和音」の連続で、聴くほどに味わいが深まるジャンルです。今回の「渚のカフェテラス」も、そうしたボサノバらしい和音の響きを大切にしながら作りました。


こんな人におすすめ

  • ボサノバやジャズの響きが好きな方
  • Band in a Boxでバッキングトラックを作ってみたい方
  • Cubaseでのオリジナル曲制作に興味がある方
  • MIDIでのニュアンスづくりに悩んだ経験がある方
  • 環境音を使った曲づくりに興味がある方
  • 静かな午後にゆったり聴ける音楽を探している方

まとめ

今回のBOSSA NOVAは、オリジナルで頑張ってみましたが、コード進行やメロディーの音使いなど、いろいろと勉強になりました。サブドミナントマイナーの哀愁、休符の「間」の使い方、コーラス間のつなぎ方、そして曲全体を包む波音の演出——どれも、作りながら少しずつ手応えを掴んでいった部分です。今後とも精進していきたいと思います。「渚のカフェテラス」、よろしければぜひ聴いてみてください。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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