Cubaseのベロシティ設定、最初は分かっていなかった話〜「rainy orchestra」を今聴き直してみる〜
1. 導入
Cubaseで初めて作った曲「rainy orchestra」。今聴き返すと、メロディもハーモニーもそれなりに形になっているのに、どこか”打ち込みっぽさ”が抜けません。何が足りないんだろうと考えて思い当たったのが、ベロシティ(音の強弱情報)にほとんど気を配っていなかったことでした。
今回はそのときのプロジェクトデータを開いて振り返りながら、ベロシティの基本と、意識すると何が変わるのかをまとめてみたいと思います。
2. ベロシティとは何か
ベロシティはMIDIノートごとに持つ「打鍵の強さ」の情報で、0〜127の数値で表されます。単なる音量ではなく、音源によっては音色そのもの(アタックの鋭さ、倍音の含まれ方)まで変化させる、演奏の説得力を左右する重要なパラメータです。Cubaseではキーエディタ下部のベロシティレーンで、ノートごとに視覚的に確認・編集できます。
言葉で説明されても実感が湧きにくいので、実際に「rainy orchestra」を開いて、当時のベロシティがどうなっていたか見てみることにしました。
3. 「rainy orchestra」制作当時の設定を振り返る
まずヴァイオリンパートのキーエディタを見てみると、こんな感じでした。
ノートの数自体は多く、動きのあるフレーズなのですが、下段のベロシティレーンを見ると、同じような高さの棒がほぼ一定間隔で並んでいるのが分かります。フレーズの山場でもベロシティの盛り上がりがなく、強弱はほとんど付けられていませんでした。
続いて、金管楽器のトランペットパートも見てみます。
金管はアクセントや強弱でメリハリが欲しい楽器ですが、こちらも同様にベロシティの棒がほぼ均一な高さで並んでいます。本来ならフレーズの入りや盛り上がりで強く、フレーズの終わりで弱く、といった変化があるはずですが、当時はそこまで意識できていませんでした。他のパートも似たような状態で、打ち込んだノートのベロシティはほぼ初期値(デフォルトのまま)で統一されていたようです。結果として、曲全体が「機械的に均一な演奏」になっていたのだと思います。
ちなみに当時は非力なマシンを使っていたため、MIDIのまま細かく調整するというより、いったんオーディオに変換してからミックスする、という制作フローでした。今思えば、ベロシティの打ち込みに時間をかける余裕もなかったのかもしれません。
4. オーケストラ音源とベロシティの関係
なぜベロシティが均一だとまずいのか、少し整理してみます。ストリングスやブラスなどのオーケストラ系音源は、ベロシティによって音色やアタック感が大きく変化するサンプルが多く使われています。ベロシティが均一だと、フレーズの抑揚がなくなり、平坦で人工的な印象になりがちです。特にクレッシェンドやフレーズの入り/終わりでの強弱の付け方が、生演奏らしさを大きく左右します。「rainy orchestra」がどこか打ち込みっぽく聴こえていたのは、まさにこれが原因だったんだろうと思います。
5. 今ならどう直すか(調整のコツ)
では実際に、今の自分ならどう直すか。ポイントをまとめてみました。
- フレーズの山(盛り上がり)に向かって少しずつベロシティを上げていく
- フレーズの終わりは弱めに抜く
- 完全に一定にせず、同じ強さの中でも微妙にランダム性を持たせる(Cubaseのベロシティランダマイズ機能や、ロジカルエディタでの一括処理が便利)
- 楽器ごとにベロシティの効き方が違うため、音源のダイナミクスレイヤーの挙動を確認しながら調整する
※実際に「rainy orchestra」の一部フレーズを打ち直し、Before/After比較を追加予定
6. まとめ
打ち込みを始めたばかりの頃は、音を並べることに精一杯でベロシティまで気が回らないものです。でも「rainy orchestra」を今振り返ると、ベロシティひとつで曲の説得力がまったく変わることを実感します。これから打ち込みを始める方は、ぜひ最初の一曲からベロシティを意識してみてください。

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